大萩康司ギターリサイタルin 郡山

昨日21日、まさに待望の大萩康司さんのリサイタルが
郡山市郊外の磐梯熱海温泉にある「ユラックス熱海」で行われました。

その前日、東日本大震災による原発の放射能漏れのため避難している
河内(こうず)小学校の子供たちのための演奏会は、
演奏家として忙しく活躍する大萩さんの一面を知る意味でも
わたしにとって大変印象的な出来事でした。

さあ今度は、存分に大萩さんの世界を満喫できるリサイタルです。
しかしです・・、さすがに演奏会を想定していない会議室での
演奏会とあって予想外の出来事が・・・

まず照明設備が当然?ないため、部屋が明る過ぎて演奏しにくかったはず。
またこの照明が問題で、絶えずブーンというノイズが・・・。これがA音に近い音・・・

さらに悪いことが続きます。この季節にしては暑い日で湿度が高く、
会場が満員になるとムンムンと息苦しいほど・・・
エアコンの使用は6月からという決まりらしく、使用できないんです(悲)
アアこれは大変なコンサートに・・(不安)

苦肉の策で、窓をすべて全開! するとここからさらに意外な問題が・・・
なんと、演奏開始寸前にカエルのシワガレ声?が高らかに聞こえるではないですか!
・・・アアどうしよう、これではカエルとのデュオコンサートになってしまうのでは・・(恐)

いよいよ演奏に入るわけですが、ここで大萩さんからお話があり、
プログラムの演奏に先だち、このたびの災害で尊い命を亡くした方たちのために
鎮魂のレクイエムとしてバッハのリュート組曲第1番から「サラバンド」が演奏されました。
そして、初めの和音を聴いた時点で不安はすぐ消えました。なんという美しい音でしょう!
本当に魂を揺さぶられる心のこもった名演でした。

yurakkus1.jpg

すると、ここから意外な事に・・、さきほどのカエル、状況を察したのかこの開始ブザー(?)
のごとく鳴いて以来、全く演奏中は鳴かなかったんです・・奇跡でしょうか!?

さらに不思議な現象が・・(ホラー映画みたいですが)後半からは、
オープンにした窓から適度な風が何とも心地よく入ってきました。
ブラインドのカーテンも微かに揺れて良い雰囲気なんです!

そうそう、ここは山間の静かな温泉郷でした。窓を開けても聴こえるのは
カエルの声くらいのものですね。

ますます愛器ブーシェから瑞々しい美しい音がハッキリと聴こえてきました。
前半のレイ・ゲーラや武満の作品での胸が熱くなるほど美しいカンタービレ、
よく弾かれるヴィラロボスでの新鮮なアプローチ、モンポウで深みのある表現力

ブロウエルでは一変、テクニックの冴えは見事でした。
時間の都合でアンコールは2曲でしたが?満員の聴衆も全ての悪条件を忘れ、
大萩さんの音楽に聴き入ることが出来ました。

yurakkus2.jpg

大震災後の東北ツアーという難しい時期に訪れた郡山市での2日間、わたしは大萩さんに接する
機会を得ました。そこで感じたことですが、大萩さんは、ギタリストとして、
そして音楽家としてある覚悟を持ってこのコンサートに臨んでいる、そんな気がしました。

どんな状況下であっても音楽に集中する気持ちの強さに大萩さんの
演奏家としての充実ぶりを実感しました。

そうでした、この磐梯熱海には河内小学校の多く子供たちを含め、いわき市をはじめ
沿岸部で被災された多くの方たちが避難している所でもありました。
その中には大切な家族を亡くした方もいるでしょうね・・
そうすると、カエルの鳴き声が消えたこと、会場に入り込んだ爽やかな風がとても
偶然には思えないんです・・・。
鎮魂のために演奏した「サラバンド」天国に届いたんでしょうね・・・

郡山市もまだ震災の影響が続いていますし、放射能汚染という
先の見えない問題に悩まされています。

大萩さん、そんな中での心のこもった素晴らしいコンサート、
本当にありがとうございました。
また、ぜひ来てくださいね。

ウーン、またユラックス熱海で聴きたい・・気もするんですよね・・・。
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渡辺隆

Author:渡辺隆
福島県郡山市に住むクラシカルギタリスト。ギター教授。ギター演奏グループ「ギタリスタス“あだたら”」主宰

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