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沢のオリザ

oryza.jpg

今年の1月中ごろ、1枚の葉書が届きました。その葉書には、私が出した今年の年賀状のお礼、そして宛名の方が昨年永眠した旨の内容が書かれていました。その方は武田与師久さんという方で、先にコンサートを行った本宮市の白沢村で代々農家の後を継いでいた方でした。私の教室にギターを習いに来たのは1986年です。それから約10年位、ギターを教えたことがあります。享年78歳かと思います。物静かで、素朴な農民でありながら、レッスンの合間に時折、思慮深いお話を伺うことがあり、感心したものでした。レッスンをはじめて3カ月経った頃、一冊の詩集を頂く機会がありました。それは武田さんが出版された「沢のオリザ」という詩集でした(本のはじめの余白に手書きで62・3月27日謹呈と書いてあります)。それまで詩を書いていることなど一度も聞いてませんでしたので少し驚きましたが、すぐに合点がいきました。それは、以前、レッスン中に何かのたとえで(もう覚えていませんが・・・)宮沢賢治の話を聞かされたことがあったからです。たしか宮沢賢治の詩は、擬音を上手に使うとか、農業で使う肥料の内容まで詩に取り入れたこと、そのリズムが良いとか何とか・・スイマセンはっきりしてなくて・・。
さて、その詩集の内容ですが、43篇ほどの「農民の詩」で、作風は結構難しいです(私にはですが・・)。私の拙い頭脳では理解しにくいのですが、恥を承知で感じたことを述べます・・・((汗)。本当に素朴な農民の日常を謳っているもので、代々引き継がれてきた農業を継承しつつ割のよい生産性の上がる近代農業に対する警鐘?そして葛藤のようなものも感じます。しかしながら、自分は額に汗しながら非効率な農作業に誇りと喜びを感じていること・・そして作風には宮沢賢治と若干共通するものがある。そんな感じですかね。

sawa-no-oryza.jpg

さて、なんでこの詩集を取り上げたか、前置きが長いぞ!!と言われそうですが、いま福島では原発の放射能漏れという大変な問題を抱えています。そんなおり、ふと、そういえば昔読んだ武田さの詩集「沢のオリザ」の一節に「アトム」という言葉が使われていたことを思い出しました。ずいぶんと唐突な使われ方だったので意味は分かりませんでしたが、なんとなく記憶の奥底あったんでしょうね。ウン、確かに使われていた気が・・・と、何とか本を探し出してすぐ読み返してみたら、その「アトム」という言葉が2篇の詩の中で確かに使われていました。

その2篇の詩をここで紹介したいと思います。

晩秋

空はそら色。
花たちは遠くへ帰った。
芒で銀を思い起こすのはむづかしい。
煙突の煙は消えて、
その周りは當のないざわめきによどんでいる。
アトムの呪いは貧しい者の上に降っていた。
稲束を手にして、
この冬の冷たさを計算したものだが、
太陽の輝きが鈍かったせいで
それは痛ましく正しいものであった。
空はそら色。
それでいて冷たく廣がり
無言であった。


稲背負い

自分の背中で稲を運ぶなんて
ずいぶん原始的だと思い、
坂道に額を近づけながら、
俺は情けなくなってくるのだが、
そのゆさゆさゆれる重さが、
かえって楽しみにもなってくる。
そのゆさゆさゆれる重さが、
この年の労働の報酬なのだ。
自分の体を詞んでしか
楽しみを味う事が出来なかったのは、
先祖からのならわしでもあったのだが、
そのおろかさは、百姓達(おれ)の心を
かたくなにしてためらう事だけが
はぐくまれていた。
額のあたりで静脈は太く隆起していたが、
滴る汗に俺が感じたのは、
アトムの扉に手をふれた仲間への距離と、
背中の報酬があまりに重すぎることであった。


もちろん、この2篇の詩だけで作者の思いが分かるわけではありません。ただ、私が感じたのは、人間というのはあくまで自然の中で生かされているというものであり、生産性、合理性を求め過ぎていないかということです。作者もそこに葛藤があるように思います。以前にブログで書きましたが、自然への畏敬の念を忘れているのではなかという事です。ここでいうアトム~原子力~という言葉には生産性や快適性を求めるツールの代表として使用されている気がします。もはや文明を後戻りさせることは不可能かもしれません。しかし今度の大震災、そして、それに伴う原発の事故は、やはり未来への警鐘ではないかと考えてしまうのです。
もちろんこれは私が勝手にこじつけた考えかも知れません。もっと詩の持つ意味を理解できる方は沢山いらっしゃいます。ぜひこの詩の意味についてお教えいただければありがたいです。

それにしても私は良い生徒に恵まれていたんですねー。と、アッ今も良い生徒が沢山います。(汗・・・)
武田与師久さん!亡くなる前にもう一度お会いしたかったです。今、あなたのふる里福島が病んでいます。あの柔和な瞳でいつまでも見守っていてくださいね。
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テーマ : 雑記
ジャンル : 日記

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Author:渡辺隆
福島県郡山市に住むクラシカルギタリスト。ギター教授。ギター演奏グループ「ギタリスタス“あだたら”」主宰

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